会社と従業員との相互信頼感形成を支援します。

セクハラ、パワハラ予防対策


セクハラに悩む女性長崎県警の警視が地元テレビ局の 女性記者にセクハラ行為をして懲戒処分を受けたり、日本テレビのアナウンサーが降格処分を受けるなど、セクハラ事件は 後を絶たない。

 男女雇用機会均等法にセクシャルハラスメントに関する条文が追加されたのが平成9年。約10年間で企業内の意識としては 相当程度浸透しているようだ。しかし、正しい知識を持って対策を講じているかとなると、中小企業の場合はまだまだの感がある。

 一方、パワハラ(パワーハラスメント)についても、この2、3年ほど前からよく話題になっている。企業として セクハラ、パワハラに対してどういう対策をとったらいいか、特に中小企業を対象に考えてみたい。 雇用機会均等法により会社には、「職場における性的な言動に起因する諸問題に関する雇用管理上の配慮義務」がある。 つまり、
1.セクハラ防止の方針を明確化し、従業員に周知させる。
2.セクハラに関する苦情・相談に対応すること。
3.セクハラ問題が生じた場合の迅速かつ適切な対応。

このため就業規則等に記載し、セクハラ防止について社内に周知させる最低限の義務が生じる。

[就業規則規定例]

第○条(セクシャルハラスメントの禁止)

1.

セクシャルハラスメントは、 同じ職場に働く従業員の働く意欲を阻害し、職場の秩序を乱し、職場の環境を悪化させるものであり、 従業員はいかなる形でもセクシャルハラスメントに該当するか、該当すると疑われるような行為を 行なってはならない。

2.

セクシャルハラスメントとは、 相手方の意に反する性的言動で、それによって仕事を遂行する上で、一定の不利益を与えるもの 又は就業環境を悪化させるものをいう。従業員はセクシャルハラスメントに該当するか、該当すると 思われる次のような言動を行なってはならない。

 

(1)

人格を傷つけかねない、あるいは品位を けがすような言葉遣いをすること

 

(2)

性的な関心の表現を業務遂行に混交させること

 

(3)

ヌードポスターや卑猥な写真・絵画類等を見ることの強要や配布・ 掲示等をすること

 

(4)

相手が返答を窮するような性的な冗談やからかい等をすること

 

(5)

執拗な誘い、性的な噂、性的な経験談を相手の意に反して話したり、 聞いたりすること

 

(6)

性的関係の強要、不必要な身体への接触、 強制猥褻行為等を行なうこと

 

(7)

その他相手方の望まない性的言動により、 円滑な職務の遂行を妨げると判断されるもの

3.

従業員は、他の従業員の性的な言動に 起因する問題により被害を受けた場合、会社所定の手続により会社に苦情処理を申し立てることができる。 会社はすみやかに事実関係の調査に着手するとともに、申立人が申立後も性的被害を受けないように処置するほか、 申し立てたことにより不利益取扱を受けないよう配慮するものとする。

4.

セクシャルハラスメントに当たる行為を行なった 従業員は懲戒処分の対象とする。

[苦情処理窓口]
 単に形式的に窓口を設置するだけでは足りず、従業員が利用しやすい体制を整備し、できれば窓口がどこであるかを周知しておく 必要がある。なお、窓口の対応にあたっては公正な立場に立って真摯に対応しなければならないことはいうまでもない。女性だけで 構成された対策委員会を設置すれば気兼ねなく相談できる。小さな会社であれば相談窓口を外部に設置してもかまわない。 顧問の弁護士事務所や社会保険労務士事務所を窓口にする方法もあるだろう。産業カウンセラーなども専門家として最適かもしれない。

 パワハラ防止について配慮義務などの法的根拠はまだないが、人権意識の高まりとともに社内の暴力やいやがらせ、いじめなどが人権侵害やうつ病、 自殺などを引き起こし告発されるようになった。パワハラによるうつ病や自殺は労災として認定されるばかりでなく、民事訴訟に進展すれば 加害者も会社も巨額の損害賠償額を命じられることもある。
 会社の対策としては、セクハラ対策との共通点が多い。

[就業規則規定例]

第○条(パワーハラスメントの禁止)

 

 パワーハラスメントとは、職権などのパワーを背景にして、 本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を 与えることである。従業員はパワーハラスメントに該当するか、該当すると思われる次のような言動を行なってはならない。

 

(1)

本人の意志ではどうにも変えることができないようなことについて 非難し、人格と尊厳を傷つけること

 

(2)

暴力をふるったり、不正行為を強要すること

 

(3)

客観的に見て達成不可能な目標を設定し、達成できなかったことを理由に責めること

 

(4)

客観的に見て他の人と異なる量や内容の仕事を強要すること

 

(5)

客観的に見て業務上必要のない指示命令をすること

 

(6)

正当な理由がないにもかかわらず仕事を妨害したり、 仕事を与えないこと

 

(7)

正当な理由がないにもかかわらず能力を低く評価するような言動を 行なうこと

2.

従業員は、他のパワーハラスメントに起因する問題により被害を受けた場合、 会社所定の手続により会社に苦情処理を申し立てることができる。会社はすみやかに事実関係の調査に着手するとともに、申立人が申立後も 被害を受けないように処置するほか、申し立てたことにより不利益取扱を受けないよう配慮するものとする。

3.

パワーハラスメントに当たる行為を行なった従業員は 懲戒処分の対象とする。

セクハラやパワハラに対しては懲戒処分を就業規則に明確にしておくことが大切である。一律に懲戒解雇と断定することは難しいので、出勤停止又は懲戒解雇とする処分が妥当であろう。また、被害者の感情としても加害者が懲戒処分を受けることで心の整理がつきやすい。
 もし記載がないのに解雇等を行なった場合は解雇権の濫用として紛争になりやすい。

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