その2 社員とホンネで話し合える風土づくり

「その1」で「社長ひとりで考えた経営指針では社員の共感は得られない」と書いてきました。 ではどうやって社員と一緒に経営指針づくりが出来るようになるかを考えてみましょう。
会社には社長と従業員、上司と部下という上下関係が厳然としてあります。 会社における上下関係は指揮命令系統の面で職位をつけなければ組織が機能しないから存在するのであり、言い換えれば単なる「役割」にすぎません。
「社長」は組織運営上社長の「役割」にすぎないと考えてみてはいかがでしょうか。
責任の重大さややりがいという面では上位の職位の方が高いと思われがちですが、
下位の職位がそうではないかというと、かえって現場の第一線で働く技術者や営業員の方が自信に満ち、
日々の業務をいきいきとこなしている例を数多くみます。
先進的な企業の会社組織図は、逆ピラミッドになっていて
現場の店員さんが最上位で社長や役員が最下位になっているものを見かけます。店員さんが顧客と最も近い立場にいて豊富な現場情報を持ち、
お客様から感謝の言葉をかけられ、やりがいと責任感を持てる立場にあります。課長さんや部長さんは自動的に集められた売上データを
把握するだけでは生きた情報が得られないため、店員さんに頭を下げて現場情報を収集しなければなりません。上下逆転現象です。
経営者は自分が「役割」としての地位でしかないことを知り、 偉ぶったり現場にあれこれ口を出すことをやめれば、社内の雰囲気はガラリと変わるでしょう。つまり指示命令系統を離れれば 上下関係はないものと考えるべきです。そうした気持ちになってみると、社員と自分とは対等の関係であり同じ釜の飯を食う 「同士」だと思えるようになります。カンパニーの語源は「パンを一緒に食うこと」つまり「自由に同じ釜の飯を食ってワイワイ騒ぐ」ことだそうです。 上下関係を残したままだとどうしても会話がビジネスライクになりフォーマルな会話に終始します。 同じ釜の飯を食う同士あるいはパートナーシップの関係になって初めて社員とホンネで話のできる関係になります。
京セラの稲盛和夫氏はコンパの効用を説かれています。
社員との個人的な信頼関係を築き率直なコミュニケーションをとるために機会をみつけてはコンパを開いたそうです。
なんとそこではドンチャン騒ぎは一切禁止。人生について仕事について互いに語り合い、酌み交わすのだそうです。
社長が先に胸襟を開いて話せば社員の気持も打ち解けます。
ホンネのコミュニケーションは上下関係や利害関係があると歪みます。インフォーマルな雰囲気の中でこそ可能なのです。
神戸大学発達科学部教授の二宮厚美氏も著書「育ちあう場としての企業づくり」で ホウ・レン・ソウだけでは会社はうまく機能しないとうことを言われています。「衣装を脱ぎ去った人間まるごとのところの本音の対話というものが ないとしっくりいかない」と、対等平等なコミュニケーションの場の必要性を強調されています。
仕事をしてもらうためには社員と「当てにし当てにされる関係」になることが
大変重要な意味をもってきます。経営者または管理職は、部下を当てにし期待していることを率直に部下に伝えることで、
部下が共感し意気に感じることができれば、仕事の達成感が共有でき信頼関係がさらに深まります。
これは稲盛氏のいうパートナーシップ経営の真髄です。
経営者が変われば幹部は変わらざるをえません。 コミュニケーションなどの社風や組織風土の大切さを交流分析などを通じて訓練すれば、一般社員にも必ず変化が起こります。
経営理念や経営方針を幹部や社員と一緒に考え、腹をわってホンネで話し合い、意見を戦わせることをしてこそ共通の経営理念や方針ができ、 ベクトルを同じくする強い集団ができるのです。
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